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Dr. Morimoto’s pain clinic ドクター森本の痛みクリニック

54 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)

局所麻酔治療で70%、緩解

「生きるのがヤになるほどの鼻づまり」(羅知あかね)との川柳があるが、いよいよ「花粉症」のシーズン到来である。日本気象協会の予測では、今年のスギ花粉の飛散量は昨年の十分の一程度とのことではあるが、油断召されるでない。すでにスギ花粉症を発症している方は、花粉の量にかかわらずに症状をみる可能性があるのだ。

「花粉症」とはアレルギー性鼻炎のうちで季節性に発症をみるものであり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの三大症状に加えて、眼のかゆみや腫れ、流涙、頭痛などを生じる。その原因となる抗原(アレルゲン)の80%以上が春先のスギ花粉である。なお、このスギ花粉の猛威が下火となる四月下旬以降にも症状が続く場合には、ヒノキ科の花粉症を疑う。さらには、スギやヒノキの飛散とバトンタッチするかのようにハルガヤ、カモガヤ、イネなどのイネ科の植物の花粉が八月末まで飛び交い、秋にはキク科のブタクサ(太平洋側に多い)やヨモギ(同じく日本海側)と続くのである。

自然治癒はほとんど望めないことから、何らかの治療を必要とする。主として抗ヒスタミン薬が用いられているが、その有効性に関して、大阪医科大学耳鼻咽喉科のグループが行った研究結果を紹介する。すでにスギ花粉症と診断されているボランティア百十三人に、三種類の抗ヒスタミン薬ないしは偽薬を投与した後に、大阪の万博公園を二日間にわたって散策してもらった。ちなみにこの二日間の花粉飛散量は47.8と51.4(ガラス板一平方㌢あたりに着いた花粉の量)であった。結果、特にセチリジンという抗ヒスタミン薬を投与した群での症状の改善率が高かった、とのことである。

ペインクリニックでは、星状神経節ブロックを行っている。首にある自律神経の集まっている部位に局所麻酔薬を注入する治療法であり、計二十回の治療で約70%の緩解を得ている。

閑話休題。サルも花粉症に悩まされていることをご存じだろうか。昭和六十年二月に、広島県宮島の日本モンキーセンターで、両眼を腫らし、鼻水を垂らしているサルが三頭発見された。この三頭を検査すると、スギのアレルゲンに特異的な反応を示すことが確認され、「スギ花粉症」と診断されたのである。その後の調査では、スギ花粉症のニホンザルは増加の一途をたどり、最近の十一年間で3.5倍になっている。

(森本昌宏=近畿大麻酔科講師・祐斎堂森本クリニック医師)

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