Dr. Morimoto’s pain clinic ドクター森本の痛みクリニック
02 花粉症
神経節ブロックで症状緩和
今年の”花粉症戦線”も後半戦。ニュースが伝える花粉の飛散の状況に一喜一憂する人も少なくないだろう。いまや国民の五人に一人(二年前は八人に一人)がスギ花粉症に悩まされているとする統計もある。
花粉症はアレルギー性鼻炎のひとつ。アレルギー性鼻炎とは発作性に繰り返すくしゃみ、鼻汁、鼻閉感の三大症状に加え、流涙、眼の異物感、まぶたの腫れ、さらにはかゆみや頭痛(血中ヒスタミンの増加による)などを伴う疾患である。鼻症状は鼻粘膜におけるアレルギー反応(気管支ぜんそくと同じI型アレルギー)によって引き起こされる。
アレルギーの原因となる物質(抗原)が、春先のスギ、ヒノキ、秋のブタクサといった花粉であることから、花粉症と呼ばれる。なお、スギ花粉とヒノキ花粉には共通抗原性があることから、多くの人はこの両花粉が飛散する時期を通じてくしゃみ、鼻汁に悩まされるのだ。これらの花粉は湿度が低下する昼間に多く飛散するが、寒冷前線の通過後は夜間でも飛散がみられるので大変だ。
日本では、昭和三十年代から、スギ植林が進められたが、成長したスギは樹齢二十年ほどで大量の花粉を飛散するようになる。これに大気汚染(ディーゼル排ガス中の微粒子)や、刺激に対して過剰に反応する現代人特有の体質などがあいまって、今日の状況を迎えるに至っている。
診断は容易だが、治療のほうはスムーズに行かない。滅感作療法や抗ヒスタミン薬の服用に始まり、鼻の粘膜のレーザー焼灼と枚挙にいとまがない。その他、ツボにタバスコを塗る、塩を入れた番茶で鼻を洗う、生姜のおろし汁を鼻から吸い込むと良いといったうわさがまことしやかに流布されている。花粉症の患者さんは藁をも掴む思いで新しい治療法に飛びついては、失望を重ねているのである。
この厄介な花粉症に対して、ペインクリニックでは、星状神経節ブロックを行なっている。首にある自律神経(交感神経)の集まっている部分に局所麻酔薬を注射する治療法であるが、計二十回の治療で、約70%が緩和に向かっている。花粉症にお悩みの方は、一度ペインクリニックを受診してみてはどうか。
(森本昌宏=近畿大麻酔科講師・祐斎堂森本クリニック医師)