ドクター森本の痛みクリニック

Dr. Morimoto’s pain clinic ドクター森本の痛みクリニック

37 変形性膝関節症

「歯科」以外の原因が多い

みなさんは口の中が痛くなったら、まず歯科を受診されるだろう。しかし、口腔内に痛みを生じる場合、歯や歯の周辺組織に起因する疾患以外にも様々なものがある。バーニング・マウス症候群、口内炎、口腔がん、さらには咽喉頭異常感症などである。

①バーニング・マウス症候群=「舌痛症」と同様のメカニズムで生じると考えられている。「口腔内に器質的異常を伴わないにもかかわらず痛みを生じる病態」であり、従来、舌痛症としてとらえられていたもののうちで舌に限局しない痛みがある状態を言う。舌痛症と同様に、中年の神経症傾向の強い女性に多くみられるが、カンジダ、歯科処置で用いられるレジンや水銀に対するアレルギーの関与も考えられている。一般的には心理的アプローチが行われているが、私どもではこれに加えて星状神経節ブロック、抗うつ薬の投与を行っている。

②口内炎=口腔粘膜の痛みのほとんどは炎症によって生じる。カタル性、剥離(はくり)症、潰瘍性歯肉炎、アフタ性口内炎などがあり、食物摂取時に灼けるような痛みを自覚する。治療としては含嗽(がんそう)、ステロイド含有軟膏(なんこう)の塗布などが行われている。なお、同様の症状を呈するものとして扁平苔癬(たいせん)、天疱瘡、多形滲出性紅斑などがある。

③口腔がん=口腔がんの初期に痛みを生じることは稀だが、末期には激烈な痛みを生じる。さらに、この口腔がんの外科的治療後には瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)、断端部の神経腫、放射線治療後には炎症、骨の壊死により痛みが再燃することがある。

④咽喉頭異常感症=「口腔の奥、咽喉~喉頭につまるような、痛いような、腫れるような異常感がある」として、ドクター・ショッピングを重ねておられる患者さんに遭遇することがある。この咽喉頭異常感症は、「通常の耳鼻咽喉科の診察では、訴えに見合うような器質的異常が局所に見当たらないもの」とされているが、局所的、全身的、さらには心理的因子が複雑に絡み合っていると考えられる。局所的因子として咽喉頭炎が存在する頻度が高く、飲酒、喫煙などの生活習慣も関与する。なお、この異常感に咽喉痛、嚥下(えんげ)障害が加わる場合には、下咽頭癌を疑って検査を進める必要性がある。

(森本昌宏=近畿大麻酔科講師・祐斎堂森本クリニック医師)

ページトップに戻る
Copyright © Morimoto Clinic. All Right Reserved.