ドクター森本の痛みクリニック

Dr. Morimoto’s pain clinic ドクター森本の痛みクリニック

39 更年期障害

ご主人に甘えることもお勧め

婦人科で「更年期障害」と診断され薬物投与を受けたものの、なかなか良くならないために、私どもの施設を訪れる方がおられる。この更年期障害に対して、ペインクリニックでは、星状神経節ブロックを行っている。週に二回のペースで、二十回程度を目安にして続ける。また、胸脇苦満(きょうきょうくまん)(東洋医学で、上腹部の筋肉の張りが強い状態を指す)を認める場合には、「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」などを処方している。

女性は、加齢することで卵巣機能が低下し、やがて月経の停止を迎える。この閉経前後の期間を「更年期」と呼ぶが、この時期には、女性ホルモンの分泌減少に伴って、体の内部環境が激変する。それまでホルモンによる調節を受けていた身体のさまざまな部位に異常が生じ、自律神経の失調を呈して多種多様の症状が一気に噴出するのである。冷え、のぼせ、肩凝り、めまい、易疲労感、脱力感、心悸亢進、食欲不振、イライラ、不眠などの一連の症状群である。発症時期、その期間の長短、症状の強弱に個人差があるものの、女性であれば避けては通れない症状群なのである。

婦人科では、ホルモン補充療法、トランキライザーの投与などを中心に対処しているが、星状神経節ブロックにより、自律神経機能を改善し、身体のバランスを調整することも有効である。

なお、更年期障害は、古来より「血の道症」として捉えられてきた。東洋医学では、更年期は「胎内で生まれた気が衰退する時期」であり、更年期障害は「気血」(生命活動を営むエネルギー)のなかの「血」の変調により生じるとしている。従って、星状神経節ブロックはこの「血」の変調を改善し、気を補うと考えてよいだろう。

更年期を迎えた女性の多くは、そのストレスによりこころに動揺を来し、その動揺によってさらに身体の異常を増悪させている。この状態から脱却するためには、周囲の人たちの支えを必要とすることは言うまでもない。例えば、ご主人との会話によってこころの安定を得ることもひとつである。更年期障害に悩んでいる女性には、ご主人に悩みを打ち明け、素直に甘えてみることをお勧めしたい。

(森本昌宏=近畿大麻酔科講師・祐斎堂森本クリニック医師)

ページトップに戻る
Copyright © Morimoto Clinic. All Right Reserved.