ドクター森本の痛みクリニック

Dr. Morimoto’s pain clinic ドクター森本の痛みクリニック

04 頭痛2

慢性頭痛は脳以外に原因

頭痛があると不安になる。特に慢性的な頭痛に悩んでおられる方は、「脳腫瘍ができているかもしれない」「脳出血じゃないだろうか?」「頭痛のためにボケてしまうんじゃないか」などと、妄想を働かせてしまう。「こんなに頭痛が続くのは、きっと悪い病気なんだ」と思い込んでしまう。しかし、慢性的に続く頭痛の多くは、脳そのものの障害によって起こるものではなく、生命を脅かす危険性はほとんどない。また、頭痛が痴ほうの原因となることもない。だから、過剰な不安を抱くことは禁物である。過剰な不安は、頭痛を実際よりもひどいものにしてしまう。
不安からの解放のためには、自分を苦しめている頭痛がどのタイプの頭痛であるのかを認識することが重要である。そのためには痛みの性質、部位、時間経過、痛みが起こるときの状況、随伴症状などを分析することが糸口となる。例えば、性質別には、?「頭を締めつけられるような痛み」であれば緊張型頭痛、?「ズキズキとする拍動性の痛み」は片頭痛、?「眼球をえぐられるような」痛みは群発頭痛、?頭をバットで殴られたように「ガーンとした」頭痛が突然起こった場合はくも膜下出血などの脳の血管障害―といった具合である。
一般的に、頭痛は慢性の機能性頭痛と突然起こる症候性頭痛に大きく分けられる。機能性頭痛(一次性頭痛、非器質性頭痛とも呼ぶ)とは、頭痛以外には他の症状を伴わない(めまいや吐き気といった不定症状を伴うことはまれではないが)もので、すべての頭痛の90%以上を占める。この機能性頭痛には緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、などが含まれるが、これらはいずれも脳自体の障害に起因するものではない。生命に危険をおよぼすことはほとんどないが、かなり強い頭痛が繰り返して起こるために日常生活に支障を来す。一方、症候性頭痛(二次性頭痛、器質性頭痛)とは、脳の障害などによって頭痛を生じる。したがって、頭痛はその症状のひとつであって、その他にも意識障害、麻痺、発熱などの症状を伴う。これはくも膜下出血、慢性硬性下血腫、脳硬塞などが含まれるが、この場合の頭痛は警報の役目を果たしていることから、即座に医師を受診すべきである。
(森本昌宏=近畿大麻酔科講師・祐斎堂森本クリニック医師)

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