Dr. Morimoto’s pain clinic ドクター森本の痛みクリニック
08 頭痛6
食品によっても生じる
現代人は頭痛の原因となるモノに囲まれて暮らしているといっても過言ではない。あなたの周りには頭痛の原因があふれている。そこで、今回は日ごろ口にする食品によって生じる頭痛を紹介する。
?中華料理店症候群…中華料理を食べはじめて二十―三十分後に頭痛や動悸を覚え、顔が赤くなったり、大量の汗をかいたりすることがある。これは中華料理に大量に使用されている化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)が血管に影響を与えることが原因である。元来、グルタミン酸は脳神経の間での情報伝達の約40%を担っている物質で、記憶に深くかかわることから、「頭が良くなる物質」と持てはやされた時期もあった。しかし、この中華料理店症候群が問題になってからは、一転して悪者扱いを受けてている。敏感な人では、三グラムのグルタミン酸(ラーメン一杯に相当)でも頭痛を自覚し、症状は約一時間続く。
?ホットドッグ頭痛…ハムやソーセージなどに含まれている発色・防腐剤(亜硝酸塩)によって脳血管が拡張し、ズキズキとした頭痛が起こる。しかし、海外のメーカーと比較すると、国産のハムやソーセージの亜硝酸塩の使用量は極めて少なく、製造から一週間もするとその量は激減するので、あまり神経質になる必要はないだろう。
?アイスクリーム頭痛…冷たいものを口にした瞬間に、前頭部や耳の後ろが痛くなる。これは口腔内に冷たいものが入ると、上顎部に枝を出している三叉神経(第五脳神経)の枝が刺激されて前頭部(第一番目の枝が支配する)に痛みがあるような錯覚を覚えるのだ。同様に舌咽神経(第九脳神経)が刺激されると耳の後ろに痛みを感じる。
?その他の食品…特に血管性頭痛を引き起こす赤ワインやチーズ、チョコレート、かんきつ類には注意が必要だ。チーズに多く含まれるチラミン、チョコレートのβ―フェニールチラミンなどの血管作動性アミンがその犯人である。また、かんきつ類に含まれるオクトパミンは交感神経(自律神経の一種)の末端でカテコールアミンに置き換わって、血管を収縮させるので、片頭痛や群発頭痛に悩んでおられる方は、取りすぎに注意していただきたい。
(森本昌宏=近畿大麻酔科講師・祐斎堂森本クリニック医師)